私の経験が教えてくれた医療の本質 ― ドラマ「DOC」とともに

こんばんは。 「朝の青空」です。
静かに夏が去り行く中、いかがお過ごしでしょうか。


<はじめに>


本記事は、以前紹介した記事ですが、
新たな思いを追記し、更に内容を再構成して再度掲載しています。
少しの間お付き合いくださいね。

 

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イタリア製の医療ドラマ「DOC」。
NHKで本放送されていた頃、私は毎週欠かさず観ていました。
数ある医療ドラマの中でも、今なお特別に心に残る作品です。

 

今回のブログでは、このドラマを通して私が感じたこと、そして自分の体験と重ねて気づかされたことを、あらためて共有させていただきたいと思います。

 

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<日本の医療ドラマとの違い>


日本の人気医療ドラマは、派手な手術シーンや劇的な展開で視聴者を惹きつけるものが多いですね。


もちろん、それはエンターテインメントとしての魅力でもあります。

けれど、かつて医療に命を救われた身としては、「病気を単なる悲劇の題材にしてほしくない」「医療をショーとして扱ってほしくない」と思うことも少なくありません。

 

その点で「DOC」は大きく異なっていました。
主人公は事故で記憶を失ったベテラン医師。医師として一からやり直す物語ですが、中心にあるのは派手なオペではなく、患者と医療者との「会話」や「心の交流」でした。

 

病気を「症例」としてではなく、「一人の人間」として見つめる主人公の姿に、私は強く惹かれました。
そこから伝わってきたのは――「医療は人」という、シンプルだけれど本質的なメッセージです。

 


<印象に残ったシーンと台詞>


忘れられないのは、ある患者と医師の会話です。

 

骨髄検査の結果、回復の見込みがあると診断されたとき。
長い緊張から解放され、互いに安堵の表情を浮かべながら交わした言葉がありました。

 

医師:
人っていうのは、病気になると、前の自分よりいい人になれる。だから、仕事を頑張って続けなさい」

 

患者:
「以前のあなたは知らないけど、今のあなたは、私にとって最高のお医者さんです」

 

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この場面を見ながら、私は自分の入院生活を思い出しました。
幾度も病院に通い、手術を受け、多くの医師や看護師さんと会話を交わした長い入院の日々。

 

この台詞を聞いたとき、病室で医師と交わした短い言葉の数々が蘇りました。
たとえ短い会話でも、患者にとっては心の支えになる――そんな実感を持てたからです。

 

そして思い返せば、診察室で交わした一言や、廊下ですれ違いざまにかけてもらった「大丈夫ですよ」という声。 それらは治療の一部ではなくても、不安でいっぱいの心を静かに支えてくれる大切な薬のようなものでした。

 

皆さんにも、病院で交わした何気ない一言が心に残っている――そんな経験はありませんか?


このドラマのシーンは、医療の現場における「言葉の力」を改めて気づかせてくれました。その記憶がこの場面と重なり、思わず涙がこぼれました。

 

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<医療と私たちの姿勢>


医療は、衣食住と同じように、私たちの生活と切り離せない必要不可欠なインフラです。
その医療を受けるにあたり、本当に大切なのは医師や看護師とのコミュニケーションだと思います。

 

私たち患者側に求められるのは、ただの「受け身の姿勢」ではなく、感謝の気持ちを持ちつつ、自分から医師に歩み寄ろうとする姿勢ではないでしょうか。


そうした姿勢こそが、信頼を生み、医療をより温かく、人間的なものにしてくれるのだと感じます。

 

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<忘れてはいけない感謝の気持ち>


病気の再発への不安は、時間が経っても完全に消えるものではありません。
けれど、このドラマが改めて思い出させてくれたのは「感謝の気持ち」でした。

 

私は、多くの医師や看護師さんに助けてもらいました。
病院で過ごす時間は決して楽しいものではありませんが、振り返れば、支えてくれた方々がいたからこそ乗り越えられたのだと実感します。

 

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今でも年に一度の定期検診の際、ロビーにある医師一覧表を見て、かつてお世話になった先生方のお名前を探します。


名前を見つけると、当時の自分の姿まで蘇るようで、思わず胸が熱くなります。
そして心の中で「ありがとうございました」と手を合わせる――それが私にとって大切な習慣になっています。

 

転勤等で、徐々にお名前が消えてしまう寂しさもあります。
それでも、感謝を思い出すその瞬間が、私に大きな安心を与えてくれるのです。

 

読んでくださっている皆さんにも、日常の中でふと「ありがとう」を思い出す瞬間があるのではないでしょうか。

 

「病気になると、前の自分よりいい人になれる」
――この珠玉の言葉には、そんな私自身の歩みも重なっているように思います。

 


<これからに向けて>


ドラマ「DOC」は、派手な演出のない医療ドラマです。
だからこそ「人と人との関わり」という医療の本質に光を当てていました。

 

私たちは健康であるとき、その当たり前をつい忘れてしまいがちです。
けれど、病気や治療の経験を通してこそ、人と人とのつながりの尊さを深く感じるのだと思います。

 

現在、NHK-BS4Kでシーズン2が再放送中です。
再び「医療は人」というメッセージに触れられることを、私は心から嬉しく思っています。

 


<さいごに>


「DOC」は単なるドラマではなく、私にとって人生を振り返り、感謝を思い出させてくれる大切なきっかけとなりました。

 

結局、医療の本質は「人と人とのつながり」。
そのことを、このドラマは改めて私に教えてくれました。

 

これからも、人間味あふれる医療ドラマが生まれていくことを願っています。

 

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
読んでくださった皆さんの心に、静かな安心が訪れますように。
明日も健やかに、そして穏やかに過ごせますように。