家族がひとつになる時間 ― ジグソーパズルのある暮らし

こんばんは。「朝の青空」です。

 

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家族みんな一緒に夕飯を食べる日が、少しずつ減ってきた。
娘君も成長し、それぞれが自分の時間を大切にするようになってきている。
家族で同じテーブルを囲む機会は、いつのまにか「特別な日」になっている。

 

だから、今年もジグソーパズルを買ってきた。
秋になると、自然とその箱を手に取りたくなる。
我が家では、もうすっかり“恒例行事”になっている。

 

リビングのテーブルに箱をそっと置く。
すると、キッチンから妻君が笑ってくれる。
「おっ、今年も来たね」
「トトロ? いいねぇ、去年より難しそう」
その言葉を聞くだけで、嬉しい。

 

今年のパズルは、1000ピースのトトロシリーズ。
一昨年は300、昨年は500。
少しずつ難しくなるのが、家族の成長に似ている。

 

箱を開けると、紙の匂いと小さなザラザラとした音がした。
妻君は眼鏡を上げながら、ピースの色を見比べ、
娘君はココアを片手に角のピースを探している。
「ここ合うんじゃない?」
「違うよ、それ逆さまだよ」
そんな何気ない会話が、また嬉しい。

 

ふと気づくと、家族の形も少しずつ変わってきていた。
子供が大人に近づき、親もまた穏やかに“見守る側”に変わっていく。
賑やかだった日々が、今はどこか落ち着きと温かみに変っている。
家族が“円熟期”を迎えつつある。
派手さはないけれど、深く静かなつながりでありたい。

 

そして思う。
この小さな幸せなひと時が、ずっと続くとは思っていない。
けれど、「まだ残っているものは、大切にしたい」。
それが、いまの私の素直な気持ちだ。

 

テーブルの上で、毎日ピースがひとつ、またひとつ連なっていく。
色がつながり、形が整い、絵が少しずつ姿を現す。
パズルが完成に近づくたびに、楽しみが膨れて、家の空気がふんわりとなる。
家族が同じ方向を見て、同じ絵を描いていく……
それだけで、もう充分幸せだと感じる。

 

この週末には完成するだろう。
完成したパズルは毎年、順番に誰かの部屋の壁に飾っている。
一昨年は娘君、昨年は妻君。
ひとつひとつが、家族の時間を閉じ込めた“思い出の絵”になってくれている。

 

今年は私の部屋の番だけれど、譲ってもいいと思っている。
このパズルが、家族の誰かの部屋で長く見守ってくれるなら、それでいい。
きっと、家族の記憶の中にも、この秋の絵が静かに残っていくはずだ。

 

パズルが完成しても、
この“つながる時間”は、まだ少しこのまま続いてほしい。

 

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今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
ではまた。